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  • 2024/10/10 06:50 掲載

Apple Vision Pro、Meta Quest、HoloLens徹底比較、XR市場「最初の勝者」は誰か?

連載:デジタル産業構造論

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2024年6月末、アップルのゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro(アップルビジョンプロ)」が日本で発売開始となり、9月にはメガネ型デバイス「MiRZA(ミルザ)」がNTTより発表されるなど、VR・AR・MRデバイスの参入が増えている。この領域には、すでにメタ社から「Meta Quest(メタクエスト)」、マイクロソフトから「HoloLens(ホロレンズ)」などもあるが、これら製品はそれぞれ何が違うのか。各社のVR・AR・MRデバイスの販売台数は伸び悩んでいるように見えるが、結局、誰が何のために使うのだろうか。産業界に与えるインパクトをはじめ、VR・AR・MRデバイスの可能性を解説する。
執筆:法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 小宮 昌人

法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO

 野村総合研究所、産業革新投資機構JIC-VGIなどを経て現職。法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 准教授として、産業価値デザイン研究室にて生成AI・AIエージェントや、フィジカルAI・AIロボット、データスペースなどデジタル技術・先端技術をビジネスや社会の価値へ転換するための手法論の教育・研究を実施。

 戦略・DX支援企業のd-strategy,inc(企業のAI変革、DX戦略、デジタルソリューション戦略)を創業し代表取締役として、フィジカルAI、AIエージェントをはじめとするデジタル化・自動化・技術変化の中での企業やスタートアップのDX/ソリューション・イノベーション戦略を支援。

 また、グローバルでのスタートアップエコシステム連携プラットフォームのThird Ecosystem,incの代表取締役CEOとして海外・国内のスタートアップエコシステム(VC/CVC/企業/大学/政府機関/スタートアップ)の連携・活性化、スタートアップ企業やエコシステム企業の海外展開支援や、海外スタートアップの日本展開に取り組む。

 Inclusive AI,incにおいて盲ろう者(目が見えない・見えづらく、耳が聞こえない・聞こえづらい)、視覚障害者、高齢者等向けのAIエージェントなどのAIサービス開発を実施。「制約のある方を含めすべての方が前向きに活き活きと暮らし、学び、挑戦できる世の中」をAIエージェントやフィジカルAIを通じて実現していくことを目指す。

 最新刊として『フィジカルAI進化論~自律するロボットとともに作る産業の未来~』(SBクリエイティブ)を26年10月1日に出版予定。

 その他、近著に『生成DX~生成AIが生んだ新たなビジネスモデル~』(SBクリエイティブ)、『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社)があり、ビジネス+IT連載『デジタル産業構造論』、MONOist等にてWebメディア連載。

 youtubeチャンネル『フィジカルAI時代の産業論 (d-strategy / Third Ecosystem 小宮昌人)』 @dstrategyinc にて生成AIをはじめ産業のデジタル化を解説

Apple Vision Pro、Meta Quest、HoloLens徹底比較、XR市場「最初の勝者」は誰か?の画像
Apple Vision Pro/MiRZAの位置付け
(出典:筆者作成)

アップルの「Apple Vision Pro」とは?誰が何目的で買う?

 今回、販売開始されたアップルのゴーグル型デバイス「Apple Vision Pro」は、どのような位置付けになるのだろうか。各デバイスが何に使えるのか特徴に触れていく前に、VR・AR・XRの違いを整理しておきたい。

■VR(Virtual Reality/仮想現実)
VRゴーグルなどを装着してデジタル世界のコンテンツに没入する
(例:360度カメラで撮影した物件の内見を体験するVR内見、仮想世界で開催されるセミナー・発表会…など)

■AR(Augmented Reality/拡張現実)
スマホやタブレット端末などを使い、本来、現実空間にはないデジタルコンテンツを現実空間にあるかのように投影する
(例:ポケモンGO、現実の部屋に家具のモデルを投影してレイアウトを確認するアプリ…など)

■MR(Mixed Reality/複合現実)
Apple Vision ProやHoloLens 2(マイクロソフト)などのMRゴーグルを装着し、現実世界と仮想世界を複合・融合させ、相互にリアルタイムで影響し合う空間を構築する
(例:現実世界の街並みの中に完成予定の建物の3D映像を投影して完成後のイメージを把握する…など)

 このうち今回発売されたApple Vision Proは、MR領域の体験をするために使われるデバイスという位置付けになる。日本での発売価格は50万円超と高価であるが、本機種はPro(ハイグレード版)の位置付けであり、近いタイミングで廉価版が発売されると見られる。

 それでは、今後、Apple Vision Proの登場により、産業界ではどのような変化が起きるのか。たとえば、すでに製造、建設、医療、エンターテイメントなど、社会実装が進みつつあるBtoB(企業向け)領域で、さらなる空間コンピューティング技術の活用が進むことが予想される。同時に、BtoC(生活者向け)においても、今まではアーリーアダプター層の利用にとどまっていたが、今後は、富裕層やアップル製品のファン層などへの拡大が期待される。

 そして、それ以上に影響が大きいのがその次のフェーズだ。今回のApple Vision Proの投入をきっかけに競合の参入が活発化すれば、さらにはメガネ型のデバイスなど普及しやすい多様なデバイスの提供が進むことで、BtoB領域では大企業に限らず、中小企業においても空間コンピューティングデバイスが浸透していくかもしれない。

画像
Apple Vision Pro以降のメタバースの広がり想定のイメージ
(出典:筆者作成)
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NTTの「MiRZA」とは? 誰が何目的で買う?

 そして待望のグラス型のMRデバイスとしてNTTが秋から発売予定としているのがMiRZA(ミルザ)だ。価格は25万円とされており、Apple Vision Proの半分程度の価格となっている。

 今までのXRデバイスは、Apple Vision Proを含めて「XRを利用していること」をユーザー自身も周りにいる人も強く意識せざるを得ないデバイスの形状であった。しかし、MiRZAはメガネ型のデバイスで、かつ125gと軽量であることから、生活の中で利用しやすい特徴を備えている。

 初期段階として、販売は企業向けからとなるが、今後、このデバイスをキッカケに業務や生活にXRが自然と溶け込むようになることが期待される。

画像
MiRZAにおけるマルチウインドウ利用シーン
(出典:MiRZA)

Apple Vision Pro、Meta Quest、HoloLensの違い

 それでは、話題のApple Vision Proはどこが優れているのか。Apple Vision Pro(アップル)、Meta Quest(メタ)、HoloLens(マイクロソフト)の基本機能は下記の通りだ。

  Apple Vision Pro Meta Quest 3 Microsoft HoloLens 2
発売日 2024年6月28日 2023年10月10日 2019年11月7日
価格(USD) 63万4,800円(512GBモデル) 9万6,800円(512GBモデル) 42万2,180円
ターゲット市場 一般消費者
ビジネス
一般消費者 ビジネス
主な用途 空間コンピューティング
エンターテイメント
ゲーム
エンターテイメント
教育
ビジネス
医療
産業設計
解像度 2,300万ピクセル 2064×2208
(片目あたり)
2K 3:2
操作方法 視線
ジェスチャー
音声
タッチパッド
ハンドトラッキング
ジェスチャー
視線追跡
重量 600~650g 約515g 566g
バッテリー駆動時間 約2時間
(外付けバッテリー)
平均2.2時間 2~3時間
Apple Vision Pro、Meta Quest、HoloLensの基本情報

 これを基本としつつ、Apple Vision Pro、Meta Quest、HoloLensの各デバイスの共通点や違いを見ていきたい。具体的には、(1)映し出される空間のリアリティ、(2)カメラ機能、(3)3Dデータを現実空間に投影する機能の実力、(4)その他の機能などの項目で、Apple Vision Proと他デイバスの特徴を見ていきたい。

特徴(1):空間のリアリティ

 従来のヘッドセットにおいては、実際の身体が受けている感覚と、体験する3Dの間で起こる視覚情報・ゆれ・振動などにずれや違和感が発生することにより、乗り物酔いに近い「VR酔い」が発生することが課題であった。

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