- 2026/09/21 12:00 掲載
産総研が日本の「製造AX」拠点を始動、DMG森精機や小松製作所と工場データをAI活用
製造現場に還元するデータエコシステムの構築
今回GENIAC事業に採択されたプロジェクトの一つは、DMG森精機およびWALCと産総研による共同提案である。工作機械を中心とした製造データを活用し、生成AIやフィジカルAIの高度化に向けた研究開発を行う。DMG森精機のクラウド基盤であるCELOS Xchangeを土台とし、協力企業約100社、約1000台の生産設備から最大1kHzのサンプリング周波数でデータを収集する。電流や温度、油圧といった設備の状態や品質記録を集め、2年間で約100TBのデータセットを整備して加工条件の最適化や異常検知への応用を進める計画である。
もう一つのプロジェクトは小松製作所との共同提案で、工場全体の工程スケジューリングなど生産管理の自律化に焦点を当てる。小松製作所が自社工場や協力企業で運用してきた製造プラットフォームのKOM-MICSをデータ収集基盤として活用する。量産や少量多品種など多様な製造形態の現場から生産計画や工程実績、稼働データを集積し、マルチエージェント型のAI生産スケジューラーや業務支援AIエージェントを開発して実証を行う。
国内製造業における深刻な人手不足や、個社単独での高度なデジタル化対応が限界に達している現状が今回の基盤整備の背景にある。さらに中国における国家主導のAI型製造モデルの台頭や、欧州での企業間データ連携基盤の標準化といった国際競争の激化も影響している。
政府は企業横断的な共通基盤を構築することで、日本が強みを持つ現場のデータや実装ノウハウを資源として活用する狙いがある。産総研はバーチャルな製造AX拠点に加え、臨海副都心センターを中心に先端加工技術の研究開発を担うものづくり拠点の整備も進めており、サイバー空間で開発したAIを実際の物理プロセスで検証する環境として運用していく方針を示している。
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