- 2026/08/06 06:50 掲載
国内外デザイン賞獲得…コニカミノルタ・デザイン部門の「AI活用術」が凄すぎる理由
連載:デジタル産業構造論
法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO
日立製作所、デロイトトーマツコンサルティング、野村総合研究所、産業革新投資機構 JIC-ベンチャーグロースインベストメンツを経て現職。2024年4月より東京国際大学データサイエンス研究所の特任准教授としてサプライチェーン×データサイエンスの教育・研究に従事。加えて、株式会社d-strategy,inc代表取締役CEOとして下記の企業支援を実施(https://dstrategyinc.com/)。
(1)企業のDX・ソリューション戦略・新規事業支援
(2)スタートアップの経営・事業戦略・事業開発支援
(3)大企業・CVCのオープンイノベーション・スタートアップ連携支援
(4)コンサルティングファーム・ソリューション会社向け後方支援
専門は生成AIを用いた経営変革(Generative DX戦略)、デジタル技術を活用したビジネスモデル変革(プラットフォーム・リカーリング・ソリューションビジネスなど)、デザイン思考を用いた事業創出(社会課題起点)、インダストリー4.0・製造業IoT/DX、産業DX(建設・物流・農業など)、次世代モビリティ(空飛ぶクルマ、自動運転など)、スマートシティ・スーパーシティ、サステナビリティ(インダストリー5.0)、データ共有ネットワーク(IDSA、GAIA-X、Catena-Xなど)、ロボティクス・ロボットSIer、デジタルツイン・産業メタバース、エコシステムマネジメント、イノベーション創出・スタートアップ連携、ルール形成・標準化、デジタル地方事業創生など。
近著に『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社/共著)。経済産業省『サプライチェーン強靭化・高度化を通じた、我が国とASEAN一体となった成長の実現研究会』委員(2022)、経済産業省『デジタル時代のグローバルサプライチェーン高度化研究会/グローバルサプライチェーンデータ共有・連携WG』委員(2022)、Webメディア ビジネス+ITでの連載『デジタル産業構造論』(月1回)、日経産業新聞連載『戦略フォーサイト ものづくりDX』(2022年2月-3月)など。
【問い合わせ:masahito.komiya@dstrategyinc.com】
コニカミノルタが「デザイン部隊」を経営の中枢に置く理由
コニカミノルタにおいてデザインを担う組織は長い歴史を持つが、現在の体制の礎となったのは、2022年に行われたブランド部門との統合である。2026年度からは組織体制をより明確化し、「プロダクトエクスペリエンスデザイン部」「ブランドエクスペリエンスデザイン部」「デジタルコミュニケーションデザイン部(Webなどのデジタル体験を担う)」という3つの主要部門と、それらを後方支援する「Admin & Ops(バックオフィス)」からなる「デザインセンター」へと進化を遂げた。
この組織の最大の特徴は、Webサイトのトップにも掲げられている「美しき解」という言葉に集約されている。これは、単にハードウェアやデジタルプロダクトの造形や操作性を美しく整えることだけを意味しない。製品に関わるすべての「体験」に価値を見いだし、共感や共創を重視した活動を行うという、デザイン部門のコアメッセージである。
同社が全社戦略においてデザインセンターを独立した専門組織として重要視している理由は、プロダクトデザインからブランド設計、Web構築に至るまで、高度な専門性と人間中心のアプローチが不可欠な領域だからである。同部門では、以下の3つの「エクスペリエンス(ピラー)」を重視している。
- エンプロイエクスペリエンス(EX)
社員の仕事を通じたより良い体験を実現し、創造性とエンゲージメントを高める。 - カスタマーエクスペリエンス(CX)
顧客と同社の多様な接点における体験全体をデザインし、企業価値向上につなげる。 - ユーザーエクスペリエンス(UX)
ユーザー理解を起点に、価値ある製品・サービス体験を創出する。
さらに、全社の技術戦略において「技術開発本部(テクノロジー)」「知的財産部(権利・ブランド保護)」「デザインセンター(人間性・ヒューマニティ)」という3部門が三位一体となって連携し、技術と人間性を融合させている点も、同社ならではの強力な差別化要因となっている。
BtoB企業だから…コニカミノルタの「AI活用ポリシー」
AIの導入において、同社のデザインセンターは独自の特殊なポリシーを設けているわけではない。
根底にあるのは「人間中心の良い社会を実現するための技術」としてAIを適正に活用するという、コニカミノルタグループ全体の一貫した方針である。
BtoBビジネスを主戦場とする同社にとって、セキュリティやリスク管理の欠如はブランド価値の毀損(きそん)に直結するため、AIへの業務の丸投げを前提とせず、Responsible AI Office(RAO)によるアセスメントやAI倫理審査委員会による審議など、組織的なガバナンス体制のもとで運用されている。そして最終的な判断と責任は必ず人間が担うという原則が徹底されている。
単なる効率化ツールとしてではなく、人々の体験価値を高め、社会や顧客への持続的な価値提供を支えるテクノロジーとして捉えている。人間中心の視点を軸に、AIとの協働を通じてより良い体験の創出と社会課題の解決に取り組むことが、同部門の基本姿勢である。 【次ページ】AI活用術(1):GitHub駆使するデザイン部隊の凄い成果
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