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- 2024/08/09 07:10 掲載
合成データとは何か? 生成AIとの関係は? アマゾン・花王・東京大学ら活用事例10選
連載:デジタル産業構造論
法政大学 デザイン工学部システムデザイン学科 准教授 / d-strategy,inc / Third Ecosystem,inc / Inclusive AI,inc 代表取締役CEO
野村総合研究所、産業革新投資機構JIC-VGIなどを経て現職。法政大学 デザイン工学部 システムデザイン学科 准教授として、産業価値デザイン研究室にて生成AI・AIエージェントや、フィジカルAI・AIロボット、データスペースなどデジタル技術・先端技術をビジネスや社会の価値へ転換するための手法論の教育・研究を実施。
戦略・DX支援企業のd-strategy,inc(企業のAI変革、DX戦略、デジタルソリューション戦略)を創業し代表取締役として、フィジカルAI、AIエージェントをはじめとするデジタル化・自動化・技術変化の中での企業やスタートアップのDX/ソリューション・イノベーション戦略を支援。
また、グローバルでのスタートアップエコシステム連携プラットフォームのThird Ecosystem,incの代表取締役CEOとして海外・国内のスタートアップエコシステム(VC/CVC/企業/大学/政府機関/スタートアップ)の連携・活性化、スタートアップ企業やエコシステム企業の海外展開支援や、海外スタートアップの日本展開に取り組む。
Inclusive AI,incにおいて盲ろう者(目が見えない・見えづらく、耳が聞こえない・聞こえづらい)、視覚障害者、高齢者等向けのAIエージェントなどのAIサービス開発を実施。「制約のある方を含めすべての方が前向きに活き活きと暮らし、学び、挑戦できる世の中」をAIエージェントやフィジカルAIを通じて実現していくことを目指す。
最新刊として『フィジカルAI進化論~自律するロボットとともに作る産業の未来~』(SBクリエイティブ)を26年10月1日に出版予定。
その他、近著に『生成DX~生成AIが生んだ新たなビジネスモデル~』(SBクリエイティブ)、『メタ産業革命~メタバース×デジタルツインでビジネスが変わる~』(日経BP)、『製造業プラットフォーム戦略』(日経BP)、『日本型プラットフォームビジネス』(日本経済新聞出版社)があり、ビジネス+IT連載『デジタル産業構造論』、MONOist等にてWebメディア連載。
youtubeチャンネル『フィジカルAI時代の産業論 (d-strategy / Third Ecosystem 小宮昌人)』 @dstrategyinc にて生成AIをはじめ産業のデジタル化を解説
生成AI時代の超重要コンセプト「合成データ」とは?
合成データ(Synthetic Data)とは、現実世界に実在するデータに似せて、人工的に作り出されたデータを指す。合成データの特徴は、生成AIと比べてみると分かりやすいかもしれない。たとえば、生成AIは、あらゆるデータを学習させた「言語モデル(LLM)」を基に、実在しない新たなデータを生成するアプローチである。一方、合成データは、実在するデータを基に、実在するデータにそっくりなデータ(同じ構造・特徴だが、値は異なる)を生成するアプローチだ。
それでは、何のために合成データが必要なのか。たとえば、下記のケースなどにおいて、合成データは役立つ。
■合成データが活躍する場面
- (1)大量の学習データが必要になる場合、または学習データが不足・欠損している場合に、その分を補うデータを用意できる
- (2)個人情報や秘匿情報など、そのまま活用できないデータを学習させたい場合に、その代わりとなるそっくりな学習データを用意できる
合成データは何に使える? 4つの方向性を解説
合成データの活用方法としては、大きく分けて下記の4つの方向性が存在する。たとえば、AIシステムの学習を高速化させるための学習データとして活用されているほか、個人情報などを扱う領域における学習データとして使われる事例も増えてきている。 また、そのままでは学習データとして活用できないデータに関して、活用しやすいデータフォーマットに変換・調整された合成データを生成し、学習データとして活用するケースもある。さらに、十分な学習データを用意できない領域などにおいて合成データがその不足したデータを埋める形で活用される事例もある。
ここからは、実際に合成データがどのように使われているのか、企業の事例を交えながら解説していきたい。
【一覧表付き】合成データの活用事例10選
下図では、合成データの活用事例の一部をまとめた。ここで紹介している事例以外にも、現在、合成データはさまざまな業界で活用が進んでいる。その1つの事例として、自律搬送ロボットやピッキングロボット、自動運転車などの学習の効率化が挙げられる。
これまで、ロボットの学習は、事前にさまざまな行動パターンを想定して学習をさせる必要があり、このティーチング作業に時間がかかっていた。しかし、こうした課題を合成データは解決してくれる。
たとえば、アマゾンは倉庫内のロボットの学習データを用意するにあたり、エヌビディアの「合成データ活用のプラットフォーム」を活用しており、これが学習の高速化につながっている。
そのほか、製造業における検査システムの学習データとして、検査時にNGの出るデータを合成データで用意する事例が出てきている。また、物流業界では、サプライチェーン効率化を図るべく、関連企業の秘匿情報に似せた合成データを用意し、これを学習データとして活用している。
こうした特定の業界における活用に留まらず、合成データは、欧州を中心に活発化するデータ共有の取り組みを加速させる役割も担っている。たとえば、Catena-XやManufacturing-X、日本のウラノス・エコシステムなどの枠組みにおいて、企業を超えたデータ連携の議論が活発化しているが、それらの取り組みにおいても、企業秘匿情報に似せた合成データを活用していくことが検討されている。
ここからは、上記の事例の中から、東京大学における合成データ活用の取り組みについて、東京大学 空間情報科学研究センター 特任准教授の小塩篤史氏に解説してもらった。 【次ページ】【第一人者が解説】「生成AI」と「合成データ」の使い分けは?
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