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- 2026/05/26 掲載
AIで「生産性アップ」「雇用減」は本当か? 世界6000人調査が暴いた“認識ギャップ”
篠﨑教授のインフォメーション・エコノミー(第193回)
中央大学国際情報学部教授/九州大学名誉教授
九州大学経済学部卒業、九州大学博士(経済学)。経済企画庁調査局委嘱調査員、日本開発銀行ニューヨーク駐在員、ハーバード大学イェンチン研究所客員研究員、九州大学大学院経済学研究院教授等を経て2026年より現職。経済財政諮問会議「成長力加速プログラム・タスクフォース」委員、内閣府経済社会総合研究所主任研究官、総務省参与、社会情報学会理事・同評議員、九州大学経済学会会長などを歴任。貿易奨励会優秀賞、テレコム社会科学賞、ドコモ・モバイル・サイエンス賞などを受賞。専門は情報技術革新の経済効果分析。
・著者:篠崎 彰彦
・定価:2,600円 (税抜)
・ページ数: 285ページ
・出版社: エヌティティ出版
・ISBN:978-4757123335
・発売日:2014年3月25日
AI報道は爆増でも…見えなかった“現場のリアル”
前回解説したように、人工知能(AI)の社会実装は各国で急速に進んでおり、「AIと経済」を巡るメディア報道も増加の一途だ(図表1)。その一方で、ビジネスの現場でAIがどの程度利用されているのか、生産性や雇用にどう影響しているのか、といった点をグローバルに俯瞰できる比較可能なデータは必ずしも十分ではない。個別の事例による断片的な情報があふれているのが実情だ。
こうしたなか、全米経済研究所(National Bureau of Economic Research)は、米国、英国、ドイツ、豪州の4カ国の経営幹部を対象にした企業レベルのAI利用調査“FIRM DATA ON AI”を今年2月(改訂版を3月)に公表した。
全米経済研究所は、1920年に設立された非営利の民間研究機関で、ハーバード大学やマサチューセッツ工科大学(MIT)と同じ米国東海岸のケンブリッジ市が拠点だ。ノーベル経済学賞の受賞者など著名エコノミストが名を連ねており、同研究所が判定する景気循環日付は事実上米国の公式基準となっている。
今回の国際調査は、回答率を高めるべく、アトランタ連邦準備銀行、イングランド銀行、ドイツ連邦銀行などの中央銀行とマッコーリー大学の研究者から成る研究チームで進められた。統一アンケート票を独自に設計し、2025年11月から2026年1月にかけて実施したものだ。
調査では、過去3年間と今後3年間のAI導入について、4カ国合計で約6000人のCEO、CFO、経営幹部から回答を得ている。さらに、米国については経営陣だけでなく従業員にも同じアンケートを実施しており、経営陣と従業員の認識を比較することも可能だ。
AI導入の現在地を探るうえで貴重なエビデンスといえるだろう。そこから浮かび上がるのは、AIブームの熱狂とは少し異なる“現場のリアル”だ。
各国で加速する“AI導入レース”、乗り遅れ企業の共通点
アンケート調査の結果によると、AI導入がビジネス界で広がっている様子がうかがえる。現在何らかの形でAIを利用していると回答した企業経営者は4カ国平均で69%だ。最も高いのは米国の78%、次いで英国の71%、ドイツの65%、豪州の59%と続く。
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