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- 2026/05/21 掲載
NVIDIA ジェンスン・ファンCEO「日本のセガがエヌビディアの危機を救った」
米カーネギーメロン大卒業祝辞でセガとのエピソードを語る
ジェンスン・ファンCEOが語った「セガの恩義と教訓」
ジェンスン・ファン氏がカーネギーメロン大の卒業生に語ったのは、1990年代後半におけるNVIDIAの壊滅的な失敗と、それを救ったセガの決断である。当時、創業間もないNVIDIAはセガの次世代ゲーム機「ドリームキャスト」に向けたグラフィックチップ(GPU)の共同開発を受託していた。しかし、当時NVIDIAが採用していた独自の画像処理技術は業界標準から大きく外れており、技術的な行き詰まりを見せていた。ファン氏は日本のセガ本社に赴き、当時の入交昭一郎社長に対し、自社の技術的判断の誤りを認めて、開発契約の解除を申し出た。同時にファン氏は、契約未履行にもかかわらず「約束していた開発資金を支払ってほしい。そうでなければ会社は倒産してしまう」と懇願した。これに対し、本田技研工業出身の技術者でもあった入交氏は、技術開発における失敗のリスクに理解を示し、異例の資金提供を決断した。セガはNVIDIAの未公開株式を引き受ける形などで数百万ドル規模の救済資金を提供した。
このセガからの資金援助により、NVIDIAは約6カ月間の事業継続が可能となる。同社はこの期間に自社の独自技術への拘りを捨て、業界標準となっていた技術方式へと方針を転換する「奇跡のピボット」を行った。この戦略的により開発されたGPUが市場で成功を収め、後のAI向け半導体開発へとつながり、巨額の時価総額を誇るAI半導体企業へと成長する足がかりとなった。
ファン氏は「CEOとは権力を振るう存在ではなく、会社を存続させる責任を持つ立場であること、そしてビジネスの世界であっても「誠実さと謙虚さを示せば、寛大さと優しさをもって報われる」ということを学んだと語っている。この経験を踏まえ、自らの誤りを率直に認める誠実さと、人々の善意が現在のNVIDIAを築いたと振り返り、卒業生への言葉としている。
ジェンスン・ファン氏のスピーチの背景には、AIの台頭による雇用環境の激変に対する学生たちの強い不安がある。同氏は「AIが人間の仕事を奪うのではなく、新たな産業や職業を生み出し、人間の能力を拡張するツールになる」とスピーチした。壊滅的な失敗から立ち直ったNVIDIAの歴史を例に挙げ、新しいテクノロジーの波を恐れるのではなく、自らの手で未来の変革を主導するよう卒業生たちを激励した。
「セガの教訓」がエヌビディアを世界一へと押し上げる
この時の「セガの教訓」を糧としたジェンスン・ファンCEOの決断が、エヌビディアを世界一のAI半導体企業へと押し上げる第2の「奇跡のピボット」へとつながっていく。2012年に開催された画像認識のコンテスト「ImageNet」において、ノーベル賞受賞者のジェフリー・ヒントン教授やOpenAI共同創業者のイリヤ・サツケバー氏などのトロント大学の研究チームが開発したニューラルネットワーク「AlexNet」が他を大差で引き離し優勝した。当時主流であった人間が特徴量を設計する画像処理技術とは異なり、深層学習を用いてコンピュータ自身に学習させる手法を採用した。
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